『―――リュカ?』
突然声をかけられて、ふと我に返る。
戸口の傍にはアンジェロが不思議そうにこちらを見ていた。
何だかとても無防備な状態を見られてしまったような気になって居心地が悪く、咳払いをする。
『リュカ、今の何?』
アンジェロがその青い瞳で問う。
「今のっ、て…?」
ばつが悪そうにわざと訊き返すと、アンジェロはこちらを凝視したままにゆっくりと人差し指を口許へ運んだ。
『…何、したの?』
あぁ、まるで天使の裁きを受けているような気分になる。
その澄んだ綺麗な青は容赦なく、リュカの犯した禁忌を問うのだ。
真っ白な天使が。不浄の存在を赦さない。
「別に、」
『なんで、弟でしょう?』
「………」
『気持ち悪いよ…』
(…そんな目で見るなよ、)


