「寂しいなら言えばいいだろ。そんな姑息なマネすんなよな。友達にくらいは、…なってやるからさ」
リュカがそっぽを向きながら照れ臭そうに言えば、アンジェロはパッと顔を輝かせる。
『リュカ…』
「夕飯、相変わらずなんもないけど、…食ってけば」
リュカがさっさと料理をしに向かいながらそう声をかければ、アンジェロは嬉しそうに肯いた。
『友達っていいね、リュカ』
夕飯の席でアンジェロが口にする。
照れ臭いのかリュカは黙ってスープを口に運ぶ。
代わりにバスチアンが笑顔になって言った。
「兄ちゃんとアンジェロ、友達になったの?」
『うん、そうだよ。リュカは優しいからねー』
ふふ、と嬉しそうに笑うアンジェロ。
父親と母親を失って、行き場のない寂しさをリュカが僅かに埋めてくれた。そんな温かさを感じていたのだ。
(…リュカ、でもやっぱり僕は君が好きだよ)
最初は人間を深く知るつもりで地上へ降りた。
けれど、いつも空から眺めていたリュカに実際に会ってみると、自分でも驚くほどに惹かれた。
天使は平等でいなくてはいけない。
そんなのは百も承知だった。
けれどあんな事があったあとで、アンジェロはやはり確実な愛を探してしまっていたのかもしれない。


