lacrimosa








「―――やめろよ!」


バン、と勢いよくアンジェロを突き飛ばした。


「なん、…なんだよ、お前。天使なんだろ、悪魔みたいなことすんなよ」


人の心をかき乱すようなことするなよ。



「…はぁ、はぁ、」

『僕は、ただ、ただリュカが…』

「うるせぇよ!」


怒鳴りつけられたアンジェロは、叱られた子供のように突き飛ばされた体勢のまま顔を歪めた。



(…そんな、そんな顔したって同情なんかしないからな)



―――俺とバスチアンを引き離そうとするやつは許さない













『…ごめんね、リュカ』


蚊の鳴くような小さな声。


『僕を嫌いにならないで』


泣きそうな声で天使が請う。



(…そうか、お前も寂しいのかな)



どうしてだろう。

アンジェロはちっとも寂しくなんかないはずなのに。

自分にないものを持ってるはずなのに。



――――どうして?