(…それは)
そうだ、自分は何でこんなにバスチアンのことが。
けれどそんな一瞬の疑問はひた隠しにして答えた。
「だってそれは…。たった1人の弟だし…」
『違うよ。きっと。
リュカの傍には今までバスチアンしかいなかった。だからだよ、リュカは1人になるのが嫌なんだ』
(…1人に)
そうだ、確かに1人になるのは嫌だ。恐い。もう何も失いたくはない。
『リュカはただ寂しいだけなんだ。
バスチアンじゃなくても、自分を必要として愛してくれる誰かを求めてるんだよ』
優しい声で、アンジェロが紡ぐ言葉。
まるで暗示か魔法にでもかけられたみたいにリュカの心に浸透していく。
(…寂しい?)
バスチアンじゃなくてもいい?
バスチアン
バスチアン
愛おしいバスチアン
『リュカ、僕は君を好きで居られるよ。傍にいてあげられる。羽根だってたくさんあげるよ』
―――バスチアン


