『ねぇリュカ、僕じゃ…だめ?
僕なら君を幸せにできるし、それに―――(…僕と君は似た者同士でしょ)』
「それに、なに?」
『ううん、何でもないんだ』
アンジェロは少し言葉を濁していつものように微笑んだ。
『リュカ、』
潤んだ瞳をリュカに向けるアンジェロ。
まるで自分という存在を求めているような、そんな…
(…やめろよ。知らないくせに)
―――それとも知ってる?
「…アンジェロ、」
『リュカが僕を一番にしてくれたら、絵のこと教えてあげるよ』
ね?と笑うアンジェロ。
リュカはもうわからなくなっていた。
アンジェロが何を考えているのかも、バスチアンが何をあんなに嫌がるのかも。
(…恐い)
恐かった。愛おしいものが形として失くなっていくことが。
(…バスチアン、お前がいなくなったら)
『リュカはどうしてそんなにバスチアンが好き?』
まただ。バスチアンのことを考え始めると、それを阻むようにアンジェロが口を挟む。


