もうそろそろ舜はこの電車に乗っかって遠くまで行ってしまう。



このままでいいの?
何も言わなくていいの?
励まさなくていいの?



そんなことを思うけど出来るほどあたしは落ち着いてない。



「浮気したら呪ってやるからね、他の女の子と遊んだら目が見えなくなるくらい一生泣いてやるから」


「……」


「頑張れなんて言わないよ。ううん言えないの。だってあたしの方が頑張んなきゃなんない」


「……実紅?」


「夏休みまでに一回は電話して、メールもして。じゃなきゃきっと不安になるから」


「……実紅」


「離れてても平気だよね?別れたりしないよね?あたしずっと待ってるよ。舜が帰ってくるまで待ってるか…」


「実紅」



最後の最後まで無理してるなんて無理だったんだ。

最後の最後まで我慢してるなんて無理だったんだ。

最後の最後までいい彼女でいるなんて無理だったんだ。



涙を抑えることも
不安な気持ちを抑えることも
笑って見送ることも



あたしには出来なかった。



「…ごめんね……今のは…忘れて…。全部……忘れていいから…」


「忘れねぇよ」


「…え?」


「もっと話せ。ずっと我慢してたの知ってたんだよ」



そう言ってあたしを優しく抱き締めた。



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