キミニアイヲ.

「なに瞬哉、あぁいうウブな子タイプだっけ?」


「いや、オレはどっちかっつーと年上のお姉様の方が……
ってそれはどうでもいいんだって!!」



真剣な話をしようとすると、いつも瞬哉は楓にはぐらかされる。


余裕そうにクスクス笑う楓にはやっぱりかなわない…

と瞬哉はガックリ肩を落とした。



「…仕方ないんだよ」


「……え?」


瞬哉は顔を上げて、ぼそっと呟く楓を見る。



「“男慣れしてない純情そうな子”を俺に騙させることが、兄貴の目的なんだから…」


「毅さんの…?」



楓は何かを自分の中に押さえ込むように、ウイスキーを一気に喉に流し込んだ。



「もう後戻りは出来ないんだよ」



楓の冷たい声と表情に、瞬哉は掛ける言葉を見失い不安を隠せずにいた。