キミニアイヲ.

胸がきゅうっと締め付けられるような、初めての感覚に戸惑う。



「今日で…終わりなの?」


「そうなるね」


グラスを持つ彼の手を見つめる。



──もう逢えないんだ……


頭ではなく、心が叫んでいる。

“そんなの嫌だ”と──。




「携帯持ってる?」


「……え…携帯??」



莉子の耳に、何の脈絡もない言葉が飛び込んでくる。


訳もわからずバッグの中を探そうとするが、仕事用の携帯しか持っていないことに気付く。



「あ……あたし、携帯持ってないんだった」


「えっ、持ってない!?」


「どうせ誰からも掛かってこないから…家に置きっぱなし」



それを聞くと、楓は思わずぷっと吹き出した。