キミニアイヲ.

「……ありがとう」



そんな月並みの言葉でしか表せない自分がもどかしい。


それでも楓は優しい笑顔で、莉子の頭を撫でた。



こんなふうに優しくされるのは慣れてないから…

なんだか涙が出そうになる。



「でも、もう俺がキミを指名する必要はないね」


「えっ──…?」


「莉子ちゃん元気だし、もう心配いらなそうだから」


「──っ…!」



そう、今まで楓が莉子を指名してくれていたのは、自殺しそうだった莉子を心配していたから。


今ではもうそんなこと考えてもいないし、会う必要もないのだ。



(じゃあ、もう今日で終わりなんだ……)



──あれ?

何だろう、なんか……


胸がチクチクと痛む。