キミニアイヲ.

そんなことを言われたのは初めてだった。


毎日好きでもない人に奉仕して、そこには自分の意志なんて関係ない。


客に言われたことを拒否していい時もあるけれど、そんなのは稀だ。



でも、それが普通だと思っていた。


デリヘルに通う男達なんてみんな同じ、自分の欲求を満たしたいだけなんだって。


…いや、他の人はみんなそうかもしれない。



ただ、今隣にいるこの人だけは違う。


欲求を満たすための“道具”ではなく、一人の“人間”として見てくれる。


源氏名の“愛莉”ではなく“莉子”と呼んでくれる。



それがどんなに嬉しくて、どんなに感謝しているか──


どうやって伝えたらいいのだろう?