キミニアイヲ.

「ここ…?」


「そう。入って」



開けられた扉の向こうは、オレンジ色を基調とした優しい雰囲気のするバーだった。


店内にはアートな椅子や雑貨が置かれていて、女の子が好きそうな店に仕上がっている。



「いらっしゃ……あ、マツさん!」


「よぉ、瞬哉」



カウンター越しに立っている男と楓は親しげに挨拶を交わす。


知り合いなんだ…と思いつつ、楓に促されて莉子もカウンター席に座った。



「俺いつものね。あとノンアルコールでも女の子を酔わせられるカクテル、出来る?」


「おまかせくださ~い♪」



──なに、そのリクエスト…
意味不明なんだけど!


…と莉子は心の中で呟いたが、瞬哉(シュンヤ)という男は鼻歌を歌いながらカクテル用のリキュールを選び始めた。