キミニアイヲ.

楓は莉子の気持ちを見透かしているような、余裕の表情を浮かべている。



「じゃあお詫びにイイところに連れてってあげるよ」


「イイところ…?」


まさかまた……



「あ、天国じゃないからね?」


「…っ、わかってます!!」



──一瞬想像しちゃったじゃないッ!!


莉子は横を向いて赤くなっているであろう顔を隠しながら、クスクスと笑う楓の後ろをついていった。




どこへ行くのだろうか、

楓は駅からほど近いファッションビルの地下へ降りていく。


地下には何軒かの居酒屋が入っていて、その一番奥にある店の前へやってきた。


“HEAL(ヒール)”というらしいその店だけ、他とは違うお洒落な雰囲気が漂っている。