「ところで、その後はどう?まだ天国に行きたいと思ってる?」



信号が青に変わって歩き始めると、楓が聞いてきた。



「…もうそんな気はなくなっちゃったわ。松永さんのおかげで」



莉子は目を合わさずに少しだけ微笑んで言った。



あれからそんなことは考えなくなった。


きっとあれは一過性のもの…

そんな気の迷いで人生を終わらせなくてよかった、と莉子は思う。



「それなら良かった」



楓も柔らかい笑みを浮かべて、頷きながら言った。



「これで心中しなくて済むわね」


「あぁ。でもこれから別の天国に連れてってもらうけどね」



──やっぱりそうなるの!?



これから行われようとしていることを再確認した莉子は、笑顔を引きつらせていた。