「なんかこの間と雰囲気違うね?」


「えっ!?」



莉子が顔を上げると、莉子を見下ろす楓と視線がぶつかって、思わず目を逸らした。



「あ…社長って聞いてたから、一応それなりにしなきゃと思って…」


「そっかー、俺のために気合い入れてくれたんだ。嬉しいな」


「別にあなたのためじゃ…!」



そう言い掛けてまた見上げると、ふんわりと優しく微笑む楓と目が合う。


その綺麗な瞳に囚われて、今度は目が離せない。



「ありがとう。すごく可愛いよ」



……顔が熱い。


また心臓が音を立てて踊り始める。


(あたし、なんか変だよ──…)



もう、その先の言葉は出てこなかった。