キミニアイヲ.

マンションの前に着いて車を降りると、雪音と瞬哉は心配そうな表情で莉子を見つめる。



「莉子……」



流産のことも知った雪音は、何か声を掛けてあげたいのだが、気の利いた言葉が思い浮かばない。


幸せの真っ只中にいた人間が、一瞬にして地獄へ突き落とされてしまったようなもの。


莉子が受けたショックは計り知れない。


そんな彼女に、気軽に声を掛けることは出来なかった。



「…大丈夫だよ、雪音さん」



それでも莉子は無理やり笑顔を作る。



「あたしがしっかりしなきゃいけないから…
だから、大丈夫」



莉子は自分に言い聞かせるように言った。


その笑顔がとても痛々しく見える反面、言葉からは莉子の想いの強さが感じられた。