すっかり暗くなった頃、莉子は雪音と共に瞬哉の車でマンションへ向かっていた。
家族は控え室で泊まれるようになっていたが、莉子はそれを断った。
「…本当によかったの?帰ってきて…」
泣いて赤くなった目で、雪音は莉子を見つめる。
莉子は疲れ切った表情で、俯きながら小さく頷いた。
「入院の準備もしなきゃいけないし、家にいた方が休めるから…」
「…そう……」
本当は不安だった。
急変するかも──
そう考えると、恐くて恐くて堪らない。
何があるか分からない、危険な状態に違いないのだから。
それでも、莉子は信じようと思った。
きっとまた明日も会える。
明日は目を醒ますかもしれない。
そう信じて、家に帰ることにしたのだ。



