キミニアイヲ.

「…兄貴、俺ラブホ辞めようと思うんだ」



毅は無表情のまま、特に何の反応も見せない。



「権利は全部譲るよ。俺の跡継ぎもそっちで捜してくれ」



毅は紫煙をくゆらせながら、目線だけをゆっくり楓に向ける。



「…どういう心境の変化だ?」


抑揚のない声で尋ねられ、


「…莉子に子供が出来たんだ」


と、正直に答えた。



「俺、父親になるんだよ。
それなら父親の名に恥じないように生きようと思ってね。俺なりにけじめをつけたいんだ」



楓はまだ見ぬ小さな命を想って、少し口元に笑みを浮かべた。



「“けじめ”ねぇ…」



ため息交じりに呟いて、毅は静かに煙草の火を消す。