キミニアイヲ.

遠ざかっていく楓の背中をただ見つめていると、突然足を止めてくるっと振り返る。



「また逢うときまで、死んだらダメだよ」


「──っ…!」



それだけ言うと、楓は片手をポケットに入れて颯爽と去っていった。


莉子の胸に、強烈な印象を残して──。



──“また逢うときまで”って…。


お互いの名前しか知らないのに、そんな時が来るのだろうか?


何を考えているのかよく分からない、不思議な人だ…。



ただ、莉子にもはっきりと分かることが一つだけある。


あんなふざけたような感じでも、楓が自殺を思いとどめようとしてくれていたこと。