キミニアイヲ.

楓はある場所へと車を走らせる。


胸元にしまった一枚の大切な紙を、ある人物に預けるために。



自分がこんなことをするのは、正しいのか間違いなのかは分からない。


ただ、莉子の心が少しでも軽くなるように

少しでも安心して子供が産めるように


出来ることはどんなことでもしてやりたい、と楓は思っていた。



ナビゲートされた場所は、伸びっぱなしの雑草に囲まれている古びた一軒家。


一見、人が住んでいるのかも疑わしいような家だ。



楓は車を降りてその家を一回見上げると、

“うまくいくように──”と祈りつつ、玄関に向かった。