なんだか可哀想だなぁ…と思いながら、莉子が哀れみの目で瞬哉を見ていると。


「それは冗談として。
莉子はそんな簡単なことで悩んでたの?」


と、ジンライムを一口飲んだ楓が言った。



「簡単なことって…」


「嫌なら辞めるしかないだろ?元々好きでやってた仕事じゃないんだから」


「そうだけど…今辞めたら住むとこもなくなっちゃうし…」


「俺のところへ来ればいいよ」


「……え??」



莉子も、騒いでいた二人も、ぽかんとした視線を楓に向ける。



「ちょうどパートさんに辞められちゃって、美和ちゃんと困ってたんだよね〜」


「えっ…、ちょっと楓……」


「だから、俺のところで働いて俺と一緒に暮らせばいい。簡単だろ?」