キミニアイヲ.

瞬哉に宥められた雪音は、少し冷静さを取り戻してイスに座り直した。



「そりゃそうよねぇ、そういうことは好きな人とだけしたいわよね」



莉子も、それで体が拒否してしまったのか…と納得した。

そしてふと疑問に思うことを尋ねてみる。



「…雪音さんはこの仕事辞めようと思わないの?」


「あたしはもう仕事として割り切ってるからね。でも莉子みたいに想うのが普通だと思うわよ?」



雪音もいつの間にか“莉子”と呼ぶようになっていた。

雪音は本名で呼ばれることを嫌っているらしく、教えてくれないためそのままなのだけれど。



「…オレは複雑だけどねぇ」



グラスを拭きながら、少し切なげに笑って瞬哉が言った。