キミニアイヲ.

楓の寂しげな背中を、莉子は胸がズキズキと痛むのを感じながら見つめていた。


黄緑色の瞳には、揺らめく炎と幸せそうに歩く人々の姿が映っている。



「…こんな俺には、幸せになる資格なんてないんだよ」



無表情で、独り言のように呟く。


莉子はその瞬間、ある一つの答えが見付かった気がした。




自分達に足りないもの…


それはきっと
“幸せになろうとする気持ち”なのだ──。



莉子も楓も、幸せになることを諦めてしまってる。


自分は恵まれない運命なんだから仕方がないと、不満足な人生に満足してしまっている。



──でも、そんなの間違ってる……!