キミニアイヲ.

喧嘩をふっかけてきたのは相手からだったが、最終的に楓が勝つ形になった。


それが気に食わなかった男達は、学校に呼び出された紅葉と二人で歩いているところを襲ったのだ。



二人は広い倉庫のような所に連れていかれ、前より人数を増やしてきた相手に、楓は袋叩きにされた。


朦朧とした意識の中で聞こえた、切羽詰まったような、恐怖が混じったような『逃げるぞ!』という声。


ようやく解放されたと同時に、楓は紅葉の姿を探した。



廃材の陰から、横たわった白く細い腕が見える。


「母さん……!?」


傍へ駆け寄って、楓は愕然とした。