キミニアイヲ.

「その頃の親父は母さんや兄貴にすら関心が無かったんだ。他人の子供の俺なんて尚更だろ」



自嘲するように話す楓を見て、莉子はまるで今までの自分を見ているような気がした。



事情は違うけれど、とても幸せとは言えない家庭で育ってきた二人。


莉子は楓と似たものを感じていた。


あたし達には何かが足りないんだ、と──



「母さんだけが…俺のことを考えてくれてた」



そう言う楓をもう一度見やると、莉子ははっとした。



「母さんだけだったんだ…」


「……楓?」


楓は、今まで見せたことのない苦しそうな表情を浮かべていた。


そのただならぬ雰囲気に、莉子の心臓はドクンと嫌な音を立てる。