キミニアイヲ.

仕事以外のことには無関心──

楓の知宏に対する印象はそんなものだった。


知宏は紅葉と毅のことにも、一切触れようとはしなかった。


二人がいつから恋愛関係にあったのかは分からないが、様子がおかしいことにはあの場面に出くわす前から気付いていた。


中学生の楓でもそうだったくらいなのだから、知宏も気付かないわけがない。


それなのに、まるで関心がないかのように振る舞っていた。



知宏は紅葉のことを好きなのではなかったのか?


紅葉を奪った毅を、何とも思わないのか?


真っ黒なスモークが貼られているかのように、楓には父の心の内は全く見えなかった。