キミニアイヲ.

しかし、ずっと辛い想いをさせてしまった楓に、楽な生活をさせてあげたいという想いもあった。


今までのギリギリの生活ではなく、人並みの贅沢をさせてあげたい、と──



楓は今まで何の文句も言わなかった。


父親も、親戚すらいない家庭で、寂しい想いをしないはずがない。


それでも楓はいつも明るく笑顔で、紅葉を困らせたことは一度もなかった。



そんな楓に、新しい家族が出来るなら──


その想いが、紅葉に再婚する決心をさせたのだった。