「歪んだ……愛?」 莉子を横目で見て楓はふっと口角を上げるが、鋭く冷たい瞳をしている。 「何から話そうか…」 そう言うと、楓は近くにあるベンチへ歩いていき、ゆっくり腰を下ろした。 莉子も隣にちょこんと座る。 「俺は本当の父親のことはほとんど憶えてない」 「──えっ?」 「母子家庭だったんだ、10歳の頃まで。それから母親が再婚して、今の家で育った」 キャンドルの灯りと幸せそうに歩く人々を眺めながら、楓は静かに話しだした。