キミニアイヲ.

「いいな…幸せそう」


莉子はその家族に、幼い頃の自分と両親を重ね合わせて見ていた。



「あたしも…あんな家庭に生まれたかったな…」



莉子がふと楓を見ると、さっきまでの笑顔は消えていた。


どこか寂しげで、冷たい表情……

初めて楓の家族のことを聞いた時と同じ表情だ。



あれ以来、楓が家族の話をすることはなく、莉子もあえて聞かなかった。


なんだか、触れてはいけない話題のような気がして──



「ねぇ、楓……」


「ん?」


「聞いても…いいかな?」


「何を?」



──あたしなんかが踏み込んじゃいけないことかもしれない。

でも、知りたいんだ。



「楓の家族のこと……」



あなたのこと、全部──