キミニアイヲ.

煮え切らない返事をして助手席で俯く莉子を見て、楓はハンドルに片手をかけながらクスッと笑う。



「莉子って意外とツンデレ姫だよね」


「え?ツンデレ?」


莉子は顔を上げて、突然何を言うのかと楓を見る。



「さっきは“早く行こう”なんて言ったくせに、今は“まだ帰りたくない”って顔してる」


「──っ!!」



──あたし…バレバレじゃん!!


一気に顔が火照って、思わずくるっと体全体を楓から背けた。



「素直じゃないんだから」



子供にするように莉子の頭をポンポンっと撫でる楓。

その手と言葉には、愛情が込められているように感じた。