【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている

 「へ!?」


 「肉はともかく、コーラは良くない」
 私は、自分がなんでこんな話をしているのか、わからなくなっていた。
 「朝に運動したのに、コーラなんか飲むと乳酸の分解が……」


 「ホレ!」


 「え?」


 「やるよ」
 バカは私の机にコーラを置き、
 「代わりに、これ貰うわ」
 と、私のアセロラジュースを奪った。


 「……!」


 「グビッ…ぐは。酸っぱいな、コレ!」


 「疲れてる証拠!」
 私はコーラを飲みながら、思った。
 男のビタミン不足を心配するのは、たぶん、300万年前から刻まれている女の性なのだろう。文化学的に。

 だから、私はさっき、ちょっと恥ずかしくなったのだ。



 遠くの雨雲は思ったより早い速度で霧散しつつあった。
 やっぱり、雨は降らなそうだ。




~科学は「愛せ」と言っている
 ACT.2 ビタミン  
 
 了