【一話読み切り】 科学は「愛せ」と言っている

 それから1週間、私は図書館に通った。

 ビタミンとは何か?
 ビタミン生成とは何か?
 何故、人間だけビタミンが生成できないのか?


 それらの問いに、端的、的確に答えてくれる本は無かった。

 だから私は、本を漁った。


 「無い、無い…無い」
 あるいはインターネットという、もっと効率的な術もあっただろう。

 しかし、私は思う。

 “グーグル先生”なんかは、クソだ。
 人から聞いた知識に、手軽に手に入れた知識に、いったいどれだけの意味があるのだろう。

 人から聞いた、簡単に手に入れた知識を、“大切な人”に贈るのは嫌だった。
 それはつまり、バレンタインに買ったチョコを贈るみたいな…。

 ――あ、いや! “大切な人”ではないのだけれど!! 


 だから、まぁ、ともかく。
 ともかく、私は、本を漁ったのだ。