抱えていた教本を、いつの間にやら握りつぶしている。

校舎内に入ると、影が冷たくて気持ちが良かった。

歩きながら息を整え、ムダだと思いながら本を反対側に折ってみる。

少しは皺が伸びるということもあるし。


 それほど昔ではない過去に、自分が考えたファンタジーな意見を、冷静なつもりで振り返る。

 よくまぁ……、何を言ってるんだろう、私としたことが。

最近はちょっと違っている気がする。そういうんじゃなくて私って。だってずっと先生にも、情緒とか叙情とか足りないって言われてて。……国語の成績だって悪いし。

 私、なんかキャラ変わってきてるかも。

立木先ぱいの音に対してよりもずっと、重症だ。

 どうして。


 遥くんの登場は、そんなに私にショックな出来事だった?