充分に手に負えなさそうだと感じていた裕明は、そのバックグラウンドも非常に負い難い深さを持っているらしいとわかった。

どんな家族だか、少し漏れ聞いただけなのに、とても変わっているなんてわかる。

のほほんぽやぽやとした奏だって、そっちの方面に向かって変わっているんだ。

その度合いからして規格外なのだから。


 以前、この天才少女の記事が新聞に載ったとき、その好意的な書き方は度を越していて不思議に感じるほどだった。

実際に接してみると、理由は簡単でわかりやすい。

 それが、奏ちゃんなんだよね。

 これなら先ぱいもああしてかわいがるだろう。

納得はいったけれど、羨ましさは消えたわけではない。


かわいがられているのが自分ではなく、他の女の子だというこの事実――