「ここ、防音不完全なんじゃなぁい? 理事長に言ってみたら?」 「……改装工事なんかできるわけないでしょ。会長権限を何だと思ってんの」 ──東雲夏生だった。 「で、何を聞いたって?」 「そーやって、夏生はいっつも分かりきってることを聞くよね」 性分なんだよと、薄く笑った夏生に、恋宵も似たような笑みを返した。 「直ちゃんの、お父さんのはなし。」