恋愛パラドックス






オレの声は、震えていた。



怒り、動揺、衝撃。
色んなものに堪えらんなくて、

オレは無意識に、美音の手首を掴んでいた。

美音の細い手首は、これ以上力を入れたら、折れそうだ。



(だから否定してくれ!)



でも、どんなに願っても、美音は沈黙を破ってはくれない。



苦しくて、痛くて、余計に手に力が入ると



「徹平…痛いよ」



美音は泣きそうな顔をして、オレに訴えてきた。





ふざけんな。

痛てぇのも、泣きたいのも、コッチだっつーの。



「意味わかんねぇし…」



だからオレは、美音の言葉を無視して、手を離さなかった。

正確には、離せないでいたんだ。

離したら2人の関係が終わってしまうような気がして。



つーか。
何でこんなことになってんだろ。

さっきまで、ただ。
美音が向かいにいるだけで幸せだったのに…。





「なぁ。何でそーなんの?お前、オレの気持ち知ってて言ってんだろ?」





ついに、苛立った気持ちを、抑えらんなくて。

まだ言わないと棚の上に置いたはずのオレの気持ちが

零れ落ちてしまった。