「えっ、あの、…あたし?」
どうすべきか迷って、どぎまぎ。
再びため息を零すと、ようやく相手が口を開いて。
「……行きます」
たったそれだけ告げると、綺麗になったお皿を置きにキッチンへ。
続いて、愛琉さんは立ち上がるとそのまま自室に戻ろうとする。
「ちょっ、食器くらい片付けてよー!」
思わず投げてしまった文句。
「うぜぇ」
逆に嫌味を返されて、余計イライラ。
なんなのよ、いつもいつもいつもいつも!
「2人きりじゃないとか、残念だなぁ……ねぇ、すず?」
同意を求められたって、困るよ恋千くん!
うわぁあああ、もうっ、外出するのが怖くなってきちゃった。
「ヒメ、明日はぼくと一緒に過ごそうね?」
佐久間さんは、まだ残ったパンを片手に振り撒く笑顔。
「えぇ、そうね」
答えると、嬉しそうにまた食べるのを再開する。
「すず、片付け手伝うよ」
愛琉さんが置きっぱなしにしたお皿と自分のお皿を重ねて、今度は里音が言う。
「ありがとう!」
うん、わかってきたわ。
これが、たぶん、あたしたちの日常。