でも、そう察しているならむしろ2人だっていいのに。

わざわざ誰かを選ばなきゃいけないなんて、不公平だと思う。



「てか愛琉、軽く流すとこだったけど、なんで一緒に来たがるの?」

首を傾げて恋千くんが聞き返す。


「別に」

返答は、予想通り素っ気ない。


「他人に構うなんて珍しいね」

「おまえこそ、ここまで引かないのは珍しいんじゃねぇの?」


あれ、なんでだろう。

微妙に、険悪な雰囲気……?



「はいはい、終わり」

仲裁に里音が入った瞬間、あからさまに本を閉じる音。

それで里音がひらめいたみたい。


「誠が一緒に行けばいいんじゃない?
ほら、恋千の暴走を止められて且つ、すずと昨日一緒にいなかったし外出もできる」

「なにそれ、暴走するなんていつ誰が言った?」

「言わなくてもわかる。
恋千はすずを襲いかねない」


お.襲っ………!



「あーぁ、面倒だな。
でも誠が来るとは限らないよね」

納得いかない顔をしているけど、さすがにあきらめの色も窺える恋千くん。


指名された誠は、全員からの視線を受けてため息をつく。

それから、下がったメガネの位置を直してからあたしを見た。