「──ということで、今日は俺が一緒に行く」

翌日、全員で朝食のパンにかじりつきながら恋千くんは言った。



「えぇーっ、ズルいよ!
ぼくもヒメと一緒にいたい」

「ホタルはだーめっ、そもそもあんた外出れないじゃん」


恋千くんに言いくるめられている佐久間さんが、少しだけ気の毒だ。


「ここはやっぱりオレが」

「里音は昨日一緒にいたじゃん。
だから却下」


いったい、何の話をしているのか。

というか、事の始まりはあたしに原因があるような気が………


「なら、俺がいく」

「ダメダメ、愛琉も昨日一緒だったじゃん」


そう、たった今何をしているかというと、あたしと一緒に街へ出かける人を選んでいるわけで。


「ねぇ恋千くん、全員で出かけたらダメなの?」

「だからさっきも言ったでしょ。
大人数で出かけたら邪魔になるって」


なぜか全員は嫌と主張する恋千くんによって、選ばざるをえない状況に。

里音が言うには

「恋千はどうしても、すずと2人になりたいらしいよ」

だそうで。