一瞬だけこっちを見ると、すぐに目を逸らされてしまう。

でも、もういいわ。

それが愛琉さんだもの、だんだん慣れてきた!



「そういやおまえ、魔法失敗しなかったよな」

返答を求めるのをあきらめて、前へ向き直った時だった。


「魔法って、あんなんだったんだな」

ぼそっと独り言のように聞こえてくる。


もともと暗くて見えにくいけど、愛琉さんはなんだか遠くを見ているような気がした。

あくまでも、“気がした”だけで。



「そろそろ着くね。
夕飯くらい、すずの代わりに誰かが作ってくれてるといいけど」

なんて言う里音につられて

「みんな料理できるのかしら?」

何気ない会話に、花を咲かせた。



魔法を確実に成功させられるのは、あと2回だけ。

残り2回で、必ずあの黒猫を捕まえなきゃ。


学校にいることがバレてしまった今、きっともう学校にはいないと思うの。


明日はちょうど休日。

人間界のことを学ぶことも兼ねて、街中に出て行くのも1つの案よね。