噂は唐突に。

翌日学校に行けば、あたしは女の子たちに囲まれました。



「すずちゃんて、愛琉くんと付き合ってるでしょ!」

「朝、誠くんと里音くんと恋千くんも一緒に来てたよね?
誰が本命なの?」


ガヤガヤと騒ぐ声。

絶えず飛び交う質問。

脳内絶賛パニック中!



「楼那さん、食堂行こう」


女の子の大群から、そんなあたしの手を引っ張り出したのは

「あ、琴葉ちゃんありがとうっ」

「はいはい、早く行くよ」

女神様とでも言うのだろうか。



お礼をしたあたしに構わず、そそくさと教室を抜け出そうとする。

最近では、人に囲まれる度に琴葉ちゃんが助けてくれるの。


なんとか逃げ出して、食堂へと向かう足を早める。

また捕まったら大変だものね。



「楼那さんって、本当噂が絶えないね」

「迷惑かけちゃってごめんなさい」

「いいよ、別に。
逃げ回るの、けっこう楽しいし」



優しく笑ってくれる琴葉ちゃんは、やっぱりあたしの女神様だ。