光の魔法で、救ってあげられたかもしれないのに。

こんなことなら、エシャルでもっと勉強しておくべきだったわ。



「ねぇ佐久間さん、人間が怖くなった理由は何だったの?」

原因が知りたくて、聞いていいか不安だったけど質問する。


愛琉さんは何か知ってるみたいな口ぶりだったけど、実際どうなんだろう。


「小さい頃………」

しばらくの沈黙後に、ぼそっと耳に届いた声。

静まったキッチンに、近づく足音。


「おい下僕、サボってんなら追い出すぞ」

ひょっこり現れた愛琉さんに注意をされて、話の続きは聞けなかった。


なんでこう、タイミング悪く出てくるのよ!


「追い出してもいいわよ。
ただ、そうなったら誰が料理をするのかしら?
誰が掃除をするのかしら?」

嫌味たっぷりに反抗してみせて、再び手を動かす。

と、文句を言い出した本人は無理矢理佐久間さんを自室に返すと一言。


「他人の事情に口出しすんな」

低い声で睨むように言い放って、彼もまた自室に戻ってしまったみたい。



意地悪、結局あたしには何も教えてくれないのね。