いいえ、嘘です。
1人じゃ帰れません。
道が……わからない。
あたしとしたことが、朝持っていた地図をどこにしまったのか覚えてない。
そもそも見慣れない道で、しかも人間界で、道に迷わないほうが不思議だもの。
「何もたついてんだよ」
文句を言われても、今更謝るのはなんだか悔しいし。
だけど、このままじゃ帰れないし。
癖で頬を膨らましたまま、地面に目線を落とした。
別に、大丈夫だもん。
あたしは魔女で、小さな子どもじゃない。
帰り道くらい、テキトーに歩いておけばどうにでも……なるんだから。
歩き出した愛琉さんは、立ち止まったままのあたしを振り返って
「置いてくぞ」
素っ気なく言って、再び足を進める。
………あれ?
置いてくってことは、一緒に帰ってくれるつもりだったってこと?
そう……よね?
「待って!」


