xxxFORTUNE




帰る場所は同じなのに。

そうよ、誠と一緒に帰れば万事解決じゃない。


それをわざわざ置き去りにしていくなんて、あんまりだわ。




「もうっ、あとで料理にタバスコ入れちゃうんだから!」

そんなことしたら、洋館にいられなくなるかもしれないけど。


「何にタバスコを入れるって?」

「………へ?」


小さくなっていく背中を見送って、拳を作りながら叫べば背後から低い声。

知ってる声だ。



そして、

「愛琉さん、どうして急にいなくなるの!
どうして急に現れたの!」

振り返って相手に文句をぶつける。


「質問は片方にしろよ。
極力おまえとは話したくねぇ」

しっつれいね!

口が悪いにも程があるわ。


「誰があなたみたいな人と話すもんですか!
こっちから願い下げよっ」

腹が立って、早足に学校を後にする。


もうっ、こんなんだったら1人で帰るほうがよっぽど───


「帰り道、逆だぞバーカ」