帰る場所は同じなのに。
そうよ、誠と一緒に帰れば万事解決じゃない。
それをわざわざ置き去りにしていくなんて、あんまりだわ。
「もうっ、あとで料理にタバスコ入れちゃうんだから!」
そんなことしたら、洋館にいられなくなるかもしれないけど。
「何にタバスコを入れるって?」
「………へ?」
小さくなっていく背中を見送って、拳を作りながら叫べば背後から低い声。
知ってる声だ。
そして、
「愛琉さん、どうして急にいなくなるの!
どうして急に現れたの!」
振り返って相手に文句をぶつける。
「質問は片方にしろよ。
極力おまえとは話したくねぇ」
しっつれいね!
口が悪いにも程があるわ。
「誰があなたみたいな人と話すもんですか!
こっちから願い下げよっ」
腹が立って、早足に学校を後にする。
もうっ、こんなんだったら1人で帰るほうがよっぽど───
「帰り道、逆だぞバーカ」


