今日の予定では、同じクラスの愛琉さんと一緒に帰るはずだった。
なのに、当の本人は姿を消して見当たらない。
教室で待ってても、誰かと話せるわけじゃないし。
仕方ないから、先に帰っちゃおうとしたの。
そしたら……
「勝手に帰られて、万が一でも道に迷われたら困るんです」
面倒事を増やすなとでも言うように、容赦なく怒られてしまったわけで。
「…じゃあ、愛琉さんが来るまで待つわ」
最終的に、静かにそれだけ返事をした。
「ぜひ、そうしてください」
誠はふわりと微笑むと、数歩遠ざかって
「絶対に待っていてくださいね…絶対に」
忠告するように繰り返す言葉。
何度も言われなくたって、ちゃんとわかるもん!
ひょっとして、バカにしてる?
それより、数歩遠ざかるってつまり………。
「あたしを置いて先に帰っちゃうなら、愛琉さんの代わりに一緒に帰ってよーっ!」


