ほっとしたように微笑みかけられれば、心がふんわり優しくなれる。
里音みたいな人が、お兄様だったらいいのになぁ。
「楼那さん、食べるの決まった?」
会話に夢中になっていると、ふと琴葉ちゃんが近寄ってきて。
「あっ、ごめんなさい!
すぐ決めるわ」
はっと我に返って、メニュー表の前で百面相。
「はじめまして、栗宮琴葉です」
「どうも、小鳥遊里音です」
その間、隣では2人の自己紹介が始まる。
やっとで選べた料理をもらいに、お盆を手に並んだ列。
知らぬ間に笑い合って話す2人に、取り残された気がして少し寂しいと思った。
本当に、少しだけ…だけど。
◇
登校日初日、放課後。
「まったく、どうして待っていられないんですか」
「だ.だって、待ってたわよ。
待ってたのに、愛琉さんが来ないから」
「だからって、1人で帰ろうとしないでください」
校門を出たところで、誠に捕まりお説教タイム。


