忘れてた。

すっかり記憶から抹消していたわ。



じっと見つめていると、視線を感じたのか愛琉さんが振り返って。

目が合ってすぐ、また前を向く。


な.なんなの、何か目で訴えられた気がしたけれど。



それから休み時間、あたしはたくさんの人たちに囲まれた。

いろいろな質問が飛び交う。


人間界の学校も、エシャルの魔法学校とはあまり変わらない気がする。

ただ、勉強内容が違うから授業のやり方が違うだけで。



「すずちゃんって、どこから来たの?」

飛んできた質問に、慎重に返答。


「えっと……海の見える場所?かな」

うっかり魔界からとか言っちゃったら大変だもの。



「ねぇ、学校から近くの洋館に住んでるって本当?」

「へ!?
なんで知って…」

「あそこって、選ばれた人しか住めないって聞いたんだけど。
ひょっとして家賃が高いとか?」

「あぁ、えっとそれは…」



どうしよう!

洋館の家賃ってなに!?

勝手に住む家を与えられたから、洋館のことなんて調べたことないわ。