ますます謎が深まっちゃった。

こんな高そうな学校に通っている洋館のみんなは、どんな立場の人たちなのか。


お家が裕福、とかが妥当?

だったら、家族と住めばいいのに。


あたしはエシャルが好き。

人間界に興味はあるけれど、やっぱりお城でお母様やお父様と暮らすほうが落ち着くわ。




どこからか聞こえてくる小鳥のさえずりに耳を傾け、静かに瞑った瞳。


その瞬間、

「“びがそら”学園。
先輩、漢字弱すぎ」


背後から見に覚えのある声がして、驚いて振り向く。



「恋千くんっ、」

なんで、こんな場所に?


そう質問する前に、あたしの手を引っ張ると歩き出した。



「遅刻して来ただけ。
サボるか迷ったけど、先輩の初登校日だしせっかくだから、ね」

ニコッと笑ってみせたその顔が、作り笑顔だと気づく人はどれくらいいるんだろう。


「職員室まで案内してあげる」


言われるがまま、なされるがまま。

辺りをキョロキョロ見渡しながら、知らぬ間にたどり着いた職員室。



「教室に行けば、愛琉がいると思うよ。
俺は学年違うから下の階なんだ」