真新しい鞄を握りしめ、慣れない制服に身を包んだあたしは
「また帰ってきたら、お話しましょう」
佐久間さんに手を振り、洋館を後にした。
日差しが強くて、外に出ると鞄を掲げて顔を隠す。
それから、ポケットから紙を取り出して。
「えーっと、学校は東の方角だから……」
独り言を口にしながら、用意された地図を頼りに目指すは学校!
悩みつつも足を運べば、しばらくしてすぐ大きな建物が顔を出した。
“美ヶ空学園”
「み、け、そら…?」
石に彫られた文字に、つい首を傾げてしまう。
思えば学校について、詳細を何も教わってないわ。
まるで雪のように、真っ白な校舎。
所々がガラス張りで、生徒が校舎内を歩いているのがよくわかる。
女神のような像の周りには、色とりどりの花が咲いて。
「わぁー‥素敵」
俗に言う近代的な造りの中に、自然を残した庭園。
いかにも高そうな学校ね。
あたしのお城と同じくらい大きい気がするもの。