理由さえわかって、人間不信を解決できればいいのだけれど。

何度尋ねてみても返ってくる答えは一緒。


「こここここ.怖いものは、怖いんだっ」


それじゃあ、あたしには何もできない。

力になりたいとは思うのに、なかなか誰かのためにって行動できないものね。



困って肩を落として、里音に渡されたケータイという機械に目をやる。

おもちゃ…じゃないわよね。

通信手段とか言っていたけど、必要あるのかは不明。


話があるなら、こんな媒介はなしに直接会って話せばいいのに。

わざわざこんな小さな機械を使うなんて、人間界って本当に不思議ね。



まぁ、エシャルでは小鳥さんがお手紙を運んでくれるし。

似たようなものなのかな。




「すず、学校行かなくていいの?」

「え?」


ふと壁に掛けられたシックな時計を指差して、聞かれたこと。

学校………時計は秒刻みに独特な音を鳴らす。



って、そうよ、学校!



「わわわ、のんびりしすぎたわ。
行ってきます!」