───時は早いもので、とうとうこの日がやってきました。



「いい?
すずはオレたちより遅れて家を出るんだからな」

「わかってるわ」

「じゃあ、行ってきます」



あたしの頭を撫でると、里音が洋館を出て行く。

真似るように、他のみんなも順々に姿を消して。



「佐久間さん、本当に行かないの?」

たった1人、佐久間さんだけがあたしのそばで座っている。


理由は、登校拒否。

毎日家で留守番なんて、つまらなくないのかしら?


あたしは今日から人間界の学校の生徒になるらしい。

でも、そうなれば今日から、佐久間さんは広い洋館に独りきり。

今まではあたしが、ずっと洋館にいたけれど今後はそうもいかないし。



「学校は嫌いなんだ…人間がいっぱい…うぅぅ怖い」


だからと言って、無理矢理学校に行かせるのも気が引けるのよね。



「どうして、そんなに人間を怖がるの?」